Fauré: Super flumina Babylonis
Fauré: Requiem
Choeur de l’orchestre de Paris
(Virgin: 50999 088470 2)
汝の嬰児をとりて岩のうへになげうつものはさいわいなるべし。詩篇137番はこの一文をもって締めくくられる。バビロンの河のほとりにすわり、シオンを思って涙を流すユダヤ人は、シオンの歌をうたえと言う新バビロニアの民に、竪琴を柳の木々に掛けて応える。この「竪琴を柳の木々に掛ける」という行為には、彼らの怒りや憤りが溢れている。歌わないという意思表示としては、これが最もあからさまで激しい。これ以上のことをするとしたら、腕を切り落としたり、喉をつぶしたり、あるいは死ぬことになるのだが、それでは終わってしまう。終わらずにしかも歌わないということが彼らにとって重要なのだ。単なる拒否ではなく抵抗である。
抵抗の姿勢をどう音楽にするか。パレストリーナは、この部分を三度で歌わせることによって、太字でテキストを書くことを選んだ。現代人にとって直接的でないやり方がいかにもルネサンス音楽だ。時代を下りていくと、意外なことにフォーレも作曲している。ヤルヴィの録音がリリースされたのは2011年だが、この年の記憶は部分的にかなり曖昧で、どうやって入手したか思い出せない。フォーレの作品はドラマティックに感情をぶつける。握った拳がわなわなと震えた。
Fauré: Requiem
Fauré: Cantique de Jean Racine
Fauré: Elégie
Fauré: Pavane
Fauré: Super flumina Babylonis
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