Filia Sion

2014.06.17 | medieval |

Filia Sion

Filia Sion
Vox Clamantis
(ECM New Series 2244)

有楽町の音楽イベントに今年も出演していたらしいヴォクス・クラマンティスは、今やルネ・マルタン御用達ヴォーカル・グループだけど、そうじゃない方の彼らに興味がある。

ECMリリースではペルトのAdam’s Lamentがあった。今回のアルバムは「聖歌と初期ポリフォニーの組み合わせ」というふれこみのプログラムだ。聖歌を軸にするのは彼らの得意なパターンだと思うけど、初期ポリフォニーを合わせるとコントラストは穏やかなものになる。古楽的にはおいしいけど、現代的にはどうだろうか。

このアルバムの日本語タイトルは「喜べ、シオンの娘よ!」という。オリジナル・タイトルは日本語にすると「娘シオン」だが、プログラムの後半には聖歌のExulta filia Sionがあるので、ここから連想したのだろう。一方、オリジナル・タイトルには、プログラムを通したテーマとしての機能性を感じさせる。Exulta filia Sionには「喜び踊れ、娘シオンよ」といったタイトルがつけられているのをよく見かけるが、Exultaには喜ぶ、はしゃぎまわるという意味があるので、「喜べ」「踊れ」「喜び踊れ」といういくつかのタイトルがつけられる可能性がある。新共同訳では「大いに踊れ」となっている。

娘シオンよ、大いに踊れ。
娘エルサレムよ、歓呼の声をあげよ。
見よ、あなたの王が来る。
彼は神に従い、勝利を与えられた者
(新共同訳:ゼカリヤ書9-9から)

この聖歌は、最後の曲に受けとめられることになる。ユダヤ聖歌Ma navuというその曲は、「聖歌と初期ポリフォニーの組み合わせ」だったはずのこのプログラムの最後に効きいたスパイスとなってもおかしくないのだが、曲自体はあくまで清澄であり、熱狂に煽り立てられる瞬間はない。

いかに美しいことか
山々を行き巡り、良い知らせを伝える者の足は。
その声に、あなたの見張りは声をあげ
皆共に、喜び歌う。
彼らは目の当たりに見る
主がシオンに帰られるのを。
(新共同訳:イザヤ書52-7,8から)

Ecce venit / Psalm 94 (Gregorian antiphon)
Virgo prudentissima / Magnificat (Gregorian antiphon)
Gaudeamus (Gregorian introit)
Rex virginum (Organum from Codex Las Huelgas)
Gloria (Gregorian chant)
Beata viscera (Perotinus – Conductus)
Audi filia (Gregorian graduel)
Prelustri elucentia (Petrus Wilhelmi – Cantio)
Ave Maria (Gregorian offertory)
O ignis spiritus (Hildegard von Bingen – Sequentia)
Agnus Dei (Gregorian chant)
Exulta filia Sion (Gregorian communion)
O Maria (Motet from Montpellier Manuscript)
Salve regina (Gregorian antiphon)
Ma navu (Jewish chant from Cochin)

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